最初の都市サンフランシスコから国内線で移動し、次はロサンジェルス(LA)へやって来ました。ここでもいろいろと、アメリカから洗礼を受けることになりました。
LA国際空港からバックパックを担いでヒョコヒョコと出てくると、いきなり乗り合いバンの客引きアジア系おっちゃんに、「ダウンタウン?下町?!」と言われながら捕まりました。他にまともそうな現地人が4,5名乗り込んでいたので、やばいバンではないだろうと思って乗ることに。「どこのホテルだ?」と聞かれて、まだホテルを予約していないワタシは「ヒルトンで降ろして欲しい」と応えました。すると同乗していた全員が一斉にワタシのことを見て、「冗談だろ?ww」と失笑を買うはめに。まあ、うす汚い身なりのバックパッカーでしたから分からなくもないです。「まだホテルは決めていないけど、ヒルトンの周辺なら安全だろうからそこで降ろしてくれ」とおっちゃんに頼むと、「おー!それは賢い選択だ!よし、近くにオレの知り合いがやっているホテルが近くにあるから、そこに連れてってやるよ!」と言います。おっちゃんにホテルの名前を聞くと、「ホテル・デビルだ!」と・・・デ、デ、デビル?・・・なんと恐ろしい名前でしょう!デビルマンが出てきたらどうしようとドキドキしながら到着すると、その名前は「Hotel de Ville(ホテル デ・ヴィール)」だったのです。ホテルというより2階建ての建物が駐車場を囲んでいるモーテルで、そこの2階の1室を借りることにしました。たしかシャワートイレ付きで1泊20ドルくらいでした。
翌朝フロントデスクのある小さな部屋に行くと、コーヒーの無料サービスがありました。そこでコーヒーを飲みながらどこに行こうかと地球の歩き方を調べていると、ある日本人旅行者に声をかけられました。ワタシより一回りくらい年上の方で、休職してエベレスト登山をしていたが同行者が登山中の事故で亡くなり中止となり、まだ休職期間が残っていたのでそのままアメリカに一人で旅行に来たと。これまたなんと怪しい人物でしょう。もう1ヶ月もLAをにいるというその人が案内してくれることになり、二人でLA市内観光に出かけたのでした。
さすがに登山家だけあって半端なく健脚な方で、すごく長い距離を歩いて移動するのです。怠け者の大学生だったワタシは普段の運動不足がタタリ、ついて行くだけで大変でした。1日中歩き回った後、ヘトヘトになってリトルトーキョー近くで鳩肉のタコスを食べ、そこから夜の街を歩いてモーテルまで帰ることに。当時のリトルトーキョー付近はLAの中でも治安が悪い場所だったようで、歩道の周りにはガラスが割れてベニア板が貼り付けてあるような古いビルが立ち並んでいました。無謀にもそこを二人で歩いて帰宅していると、急に鈍い大きな音がして私達の10mくらい前の歩道に、黒人男性が体をくの字にした状態でビルの中から横っ飛びに飛び出してきて転がったのです!ビックリして心臓が口から出そうになり、すぐに踵を返してもと来た道を走って逃げたのですが、一体何があったのかはっきり理解できていませんでした。おそらく誰かがビルの1階で銃で撃たれたか何かして、段ボールで塞がれていた窓から外に飛び出てきたのでしょう。文字通り「くの字」に体が折れ曲がった状態で飛び出てきて歩道に転がったその光景が目に焼き付いて、たまたま走って来た路線バスに乗り込んでからもヒザがガクガクしていたのを覚えています。それまでの人生で、一番怖い思いだったのは間違いありません。見知らぬ土地で怪しげな登山家を信用してついて行ったことを、海より深く後悔したのでした。
サンフランシスコでもそれなりに怖い思いをしましたが、LAではもっと洒落にならない状況に出くわし、トラウマになりそうな思いでした。でもここで日本に帰国することも出来ず、怖くてもそのまま一人旅を続けるしかありませんでした。
【次回ニューヨーク編に続く】
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